宇多田ヒカルのOne Last Kissを、宇多田ヒカル&エヴァのファンとして考察・感想を書きました!
One Last Kissはゲンドウの歌なのか?
宇多田ヒカルのモナリザ=母:藤圭子?
なぜ出会い=喪失の予感なのか?……などなど書いてます。
歌詞分析。One Last Kissはゲンドウの歌なのか?
宇多田ヒカルのモナリザ=母:藤圭子
初めてのルーブルはなんてことは無かったわ
私だけのモナリザ、もうとっくに出会ってたから
「あなたと比べたら、名画の美女も見劣りする」というそのまんまの意味。ルーブルを選んだのは今作の舞台がパリだから?(舞台はどこかくらいは宇多田は庵野監督から聞いていたと予想。
宇多田ヒカルは作曲をしてから作詞をするアーティストであり、いつも作詞の時は「ここはこの音に合わせて母音はアがいいな」とか考えて創作しているそうなので、今回もルーブル・モナリザが音的にもちょうどよかったのではないだろうか?
ちなみに、宇多田ヒカルは今まで見た中で一番の美人は?というインスタライブでの質問に「ダントツで藤圭子(=母)ですね。よくあんな綺麗な人がいたもんだなと思います」と答えているので、宇多田ヒカルのモナリザは藤圭子なのだろう。確かにモナリザも真っ青な、えげつない美人である。
動き出した歯車=ループの合図?
初めてあなたを見た あの日動き出した歯車
止められない喪失の予感
歯車が動き出す=自分に変化が起こる、という意味?ともとれるが、最近Youtubeで「ってられない!」さんのエヴァ考察動画で「レイの亡霊を見ると物語が分岐する」という考察を聞いたので、もしかしてソレ?!
「初めてあなたを見た、あの日」=シンジがレイの亡霊を見た、TVシリーズの1話・序で公衆電話のシーンか??!
宇多田ヒカルは庵野監督から特に内容を聞かずに歌を作ったと思われるけど、だとしたらシンクロしすぎでは??こわい。
なぜ出会い=喪失の予感なのか?
出会いは別れとセット。あまりに巨大な存在と出会うと「自分はいつかこの人を失うかもしれないのだ」という不安も起こることがある。すごく高価で美しいお皿を手に入れたとする。「やったー!綺麗!」という気持ちと一緒に「もしこれを割ったら……」とゾッとする気持ちも出てくるのではないだろうか?「喪失の予感」とはこれのことかと思う。
もしくは相手の言動により「いつかこの人はいなくなる……」という拭えない不安があるのか。
例えば宇多田ヒカルは、昔から「もう死ぬから!」と言う母:藤圭子に対して「いつ死んじゃうのかな?」という不安を抱えて生きていたそうな。藤圭子が亡くなった時も「あぁ、恐れていた事態が起きてしまった」と思ったとインタビューで述べているので、喪失の予感にはそういった意味もあるのかも。
何が「もういっぱいある」? →ループした回数?
もう いっぱいあるけど、もう一つ増やしましょう
Can you give me one last kiss?
忘れたくないこと Oh…… 忘れたくないこと Oh……
I love you more than you’ll ever know
何が「もういっぱいある」のか?歌詞の通りで言えばキスである。
が!エヴァはループものという考察に則って考えれば、もういっぱいある=もう何度も繰り返しているループ・世界。
「もう散々ループしたけど、もう1回やろう……最後に。」
という意味かもしれない。もしそうなら、最後のループだから、最後のキス(=One Last Kiss)なのかも?
(ゲンドウにせよ、シンジにせよ、ミサトにせよ、ループして過去?に戻らないと「you」とキスできないし)
Youtubeで「いや、もう1つ増やそうって言っているのは”忘れたくない事”では?これは倒置法では?」というコメントを頂き、確かに!と思いました。
「(忘れたくないことが)もういっぱいある……でももう1つ増やしましょう」
という意味かもしれません( ̄▽ ̄;)
I love you more than you’ll ever knowの意味。和訳&深読み!
more than you’ll ever knowとは「あなたが思っているよりずっと」という意味の表現。だからI love you more than you’ll ever knowは「あなたが思うより、私はあなたのことを愛してる」となる。
綾波が思うよりシンジ(=I)は綾波を愛してるし、
ユイが思うよりゲンドウ(=I)はユイを愛してるし、
シンジが思うよりゲンドウ(=I)はシンジを愛してる。
作中に素直で感情表現がストレートな人は少ない&好意に鈍い人が多いので、この言葉はほとんどのキャラに当てはまるだろう。
また、私にはこの歌詞には、こういう意味も感じる。
宇多田ヒカル(=you)が思うより、藤圭子(=I)はヒカルを愛してる。
宇多田ヒカルは子供を産んで母になることで、母:藤圭子が自分を生んだ時にどんな気持ちだったのか疑似体験したような気がした、と言っていた。彼女は自分が母として子供に接することで「あぁ、きっと母はこんな風に私を見て、想ったりしたんだろうな。私って愛されてたんだな」と思った。
「私が思うより私は愛されていた」と発覚したことを、藤圭子目線で歌っているのかな?と。
追記:シンエヴァ鑑賞後
シンエヴァは「実はいろんな人に愛されていたんだ」とシンジが気づくシーンが多い!わっかりやすっ!!と思うくらいに。
- シンジが「なんでみんなそんな優しいんだよ、僕は世界を滅ぼしかけたのに!」と言ったとき、レイが「碇君のことが好きだから」と返す。
- シンジに対し、怒りも呆れもせず「無事でよかった」と優しく接するケンスケ・トウジ・ヒカリ等。
- 「あのときはアンタのこと好きだった」と告げるアスカ。
- 実はシンジを信頼していて「彼だけに背負わせちゃダメだ」と心を鬼にしていたミサト。
- 俺が近づかない方がシンジにはいいんじゃないか?と勘違いして距離を取っていたアホな父、ゲンドウ。
などなど。
この歌は誰をIにしてもYouにしても成立するようには出来ているが、一番はやっぱりシンジ=Youだなと思った。このI love you more than you’ll ever knowは主要キャラ→シンジへの受容の言葉なのだ。
宇多田ヒカルは庵野監督から本当にシナリオとか貰わずにコレを書いたの?誰かインタビューしてくれよ…!
てかなんで映画のパンフレットに宇多田ヒカルのインタビューがないの??????
「桜流し」についても宇多田ヒカル本人が言及しているメディアはほとんど無いので、一刻も早くインタビューをして欲しい。
↓一応、Qでは脚本かる~く読んだみたい……。
One Last Kiss その他の歌詞部分
「写真は苦手なんだ」 でもそんなものはいらないわ
あなたが焼き付いたまま 私の心のプロジェクター
脳裏に焼き付いたままのあなたは何時如何なる時も頭の中・心の中にいる。だから世界的な美女の名画を見ても、「なんだ、こんなもんか」と思ってしまう。
「写真は苦手」と言ったのは誰だろう?一番言いそうなのはゲンドウだけど……ユイかもしれんし。とりあえずアスカではなさそうだ。「ふん、まぁこれだけの美少女なら、撮りたくなるのは人の性って奴よね」とか言いそう。
最近、十何年ぶりにTVリーズを一気に見返したのですが、シンジ&ゲンドウがこのように話すシーンがありました!
ゲンドウ:人は思い出を忘れることで生きていける。だが決して忘れてはならないこともある。ユイはそのかけがえのないものを教えてくれた……。
シンジ:……写真とかないの?
ゲンドウ:残ってはいない……略……すべては心の中だ。今はそれでいい。
アニメ第15話の13:35~頃
忘れてはならないことっていうより、忘れたくないことよね。だってゲンドウの人生からユイの存在を取り上げたら、彼は多分生きていないもの。Not Beautiful Worldすぎて。
やはりOne Last Kissはゲンドウの歌なのか??!狙ったのか宇多田……!
寂しくないふりしてた まぁそんなのお互い様か
誰かを求めることは すなわち傷つくことだった
お互いに寂しくないふりをしてた、、、となると、イメージする組み合わせはこの辺。
- アスカ&シンジ
- ゲンドウ&ユイ
- ゲンドウ&シンジ
- ミサト&加持
- 宇多田ヒカル&藤圭子
誰かを求める=期待して結果に裏切られたりすること(=傷つくこと)に繋がる。だから求めることは、すなわち傷つくことなのだ。
Oh……Can you give me one last kiss?
燃えるようなキスをしよう
忘れたくても、忘れられないほど Oh…
I love you more than you’ll ever know……
忘れられない人……
「忘れたくても忘れられないほど、情熱的なキスをしよう」と言っているあたり、この私(=I)は忘れる気がサラサラない。
忘れられないのは、忘れたくないからだ。
この歌は、「忘れられない人♪ 忘れられないこと♪」と散々歌っているが、「られない」というより、忘れたくない人なのだ。
吹いていった 風の後を 追いかけた
眩しい午後
単純に吹き去った風を追いかけた午後、という心象風景の描写かもしれないし、もしくは
風=嵐の女神=藤圭子?
とも考えられる。
「眩しい午後」と聴くと、ラストでシンジが「行こう!!」と言ってマリと駅→広場へ駆けるシーンをイメージする。
「吹いていった風」=嵐=トラブル=1連のゴタゴタ
色々あったけど、嵐が通り過ぎた後、人類は再び歩み始めたよ……みたいな意味かもしれない。
たぶんだけど、ゲンドウ特別に意識してはいない?
Twitterで「これはゲンドウ視点では?あなた=ユイでは?」という説を見て、確かに……と思うものの、Beautiful Worldのときも宇多田は「特に誰と限定せず、どのキャラにも当てはまるように作った」と言っていたので、恐らく今回も特別にゲンドウを意識してはいないと思う。
↑上記内容を含め、宇多田ヒカルのエヴァについての発言を知りたい方、コチラ↓の本がオススメです。内容がどんな感じか知りたい方は「宇多田ヒカルとエヴァのシンクロ率が高いのは、テーマの核が少年性&母性だから」を読んでみて下さい。
追記:宇多田ヒカルはエヴァキャラで言うと誰?
5月2日のインスタライブで、「エヴァのキャラで一番自分に性格が近いのは誰?」という質問があり、それに対して
特に似てるなって人はいないんだけど……。「全部、碇ゲンドウの歌だったの!?」って言われて自分でも考えてみたら、もしかしたら一番近かったのかな?と思った(笑)性格は違うけどね」
といった内容を話した。性格は違うけど、「ヤバイくらい忘れられない人がいる」っていうのは同じだものね……。(てか昔、シンジに似てるって自分で言ってなかったか……?とツッコミたい)
ちなみに、宇多田ヒカルの1人目の旦那さん(紀里谷和明)は宇多田ヒカルを「パッと見はアスカっぽく見られるかもだけど、近くで見てると綾波だよね」と宇多田ヒカルを評したそう。
宇多田ヒカル『One Last Kiss』感想・レビュー
美しい思い出の反芻。哀しくて幸せなループ。
それがこの曲を聴いて私が感じたことである。「私」は過去の美しい思い出に囚われてしまった人だ。
反芻とは
- (牛や羊などが)一度飲んだ食物を口の中に戻し、噛み直して再び飲み込むこと。
- 繰り返し考え、よく味わうこと。
なのだが、「一度飲んだものを口に戻す→再び飲み込む」というのは、つまりはループである。過去の想い出を思い返して(=戻して)は現実に戻って(=飲み込んで)、「あぁ忘れられない」と再認識する。
この歌はずっと「忘れられない♪」と言ってるけど、忘れられないのは、忘れたくないからだ。
たとえ、その反芻が幸福感だけでなく喪失感も思い出させるツラいものだとしても忘れたくない。
それは「私」にとって、あまりにも美しく幸福な思い出だから。
だから哀しくて幸せなループなのだ。
こちらのエヴァ公式本の冒頭の庵野監督の言葉で、こんな1節があったのでご紹介。
「エヴァ」はくり返しの物語です。
主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。
わずかでも前に進もうとする、意思の話です。
曖昧な孤独に耐え、他者に触れるのが怖くても一緒にいたいと思う、覚悟の話です。
同じ物語からまた違うカタチへ変化していく4つの作品を、楽しんで頂ければ幸いです。
庵野秀明
これを読んで、宇多田ヒカルの『誰にも言わない』で「一人で生きるより、永久に傷つきたい♪」と言ってたけど、それじゃん!!と思いました。
やはりエヴァと宇多田、シンクロ率がスゴイ。
ループ感
歌詞だけでなく、曲の構成としてI love you more~♪や、忘れられない~♪Oh……など繰り返しのメロディが多いせいか、曲全体にループ感を感じる。
(先日、エヴァ考察動画で「エヴァの世界は2種類存在する!?ループの謎」みたいなのを見たから余計そう思うのかな?)
しかもそのループ(繰り返し)が少しずつ変化しているので、同じだけど、少し違う・なんかズレてる、、、と、ある種のパラレルワールド感もある。多重録音されている部分が多いせいかもしれんけど。
余談だけど、私が抱くこの曲の視覚的なイメージは、いくつものカラフルな円の線が虚空を回りながら舞っているような感じ……。伝わるかな??ジャケ写に引っ張られてる気もするけど(笑)
絵にするとこんな感じのイメージ↓
内容・特典はこんな感じ
歌詞ブック?は表紙&背表紙合わせてわずか4ページ。宇多田ヒカルの写真・メッセージなどはなし。MVのショットとか入ってたるかと期待してたのでちょっと残念……。
ジャケ写と曲がシンクロしている!
白のバックに虹色グラデーションの線画が、この曲の持つ浮遊感と清さと合致している。私はCDを購入したので、カバーはシンジの原画。
…………レビューはこんなもんかな?ほかにも宇多田ヒカル関連の記事を書いているので、興味のある人はぜひ!↓
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